不思議だね

不思議だよね。木の葉が緑色をしているのは、葉の細胞内部にある葉緑素から想像がつくのだけど。どうしてこの時期になると、赤や茶や黄色に色を変えて落葉していくのだろうか? 厳しい寒さを乗り越えるため、夏の間に葉で蓄えた養分を幹に蓄え、不要なエネルギィの発散を抑えるためにも寒さに触れる部分を少なくするためにも葉を落とす。色を変えて……。胃本の木から出る葉の色が一枚一枚違うように、色付いた葉の色もまた違う。同種類の木が集まってグラデーションを作るのも魅惑的だし、様々な種類の木が集まって出来上がる彩りもまた蠱惑的だと思う。人間の力だけではどうしようもない、太陽と土と水と風と様々な風土によって描かれたキャンパス。こんな景色を目の当たりにすると、どうして色が変わるのかなんてどうでも良くなってくる。ただただ綺麗。太古の姿を今に伝える木、公孫樹。雌雄がある木って言われると俺はこれしかしらない。落ちた銀杏から漂うあの匂い、秋の終わりと冬の訪れを告げる。何千年前の人も今の俺と同じようにこうして木を見上げていたのだろうか? それとも、食べるために銀杏拾いをしていたのだろうか? 葉が全て落ちたら、本格的な冬がやってくる。大きな〆切を1つクリアした日。