京極夏彦『姑獲鳥の夏』

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

見たい物をみています。聴きたいものをきいています。なによりそう、やりたいことをやっているんです。やらなければいけないことでも、やった方が良いことだとしてもそう、私がやりたいと思えるからやっています。それが働く方向は解りません。見ているのに見えてないものがもしかしたらあるかもしれません。自分が軽んじているものがものすごく大切なものなのかもしれませんし、また逆なのかもしれません。結論なんてないのです、考えて自分が選んでいきます。起こるべくことは起こるべくして起こっていきます。そこへ干渉することによって事態は変化していきます。影響の大小を測ることはできません。
自分を達観している自分がいます。自分に埋没している自分もいます。一人が複数のキャラクタを想像し、名前を与え形を与え言葉を並べていくことは技術です。様々な人の口を借り、そのキャラクタの口調で世界観を考え方をある向きをしっかりと示してくれます。自然に私のなかに新しい世界が生まれます。
この作品があったから今の私があるのです。そう思える私の一作がこの物語です。