乙一『暗黒童話』

暗黒童話 (集英社文庫)

暗黒童話 (集英社文庫)

今活きている自分を形作っているのはなんなのだろうか? 例えば姿形が同じだとしても記憶喪失になったとしたら、そのときの自分は自分と言えるのだろうか。こうして書いていることばですら、自分で書いた物とは思えなくなるのかもしれない。行動したことや考えたことは記録することができるが、新しく生み出すことはできなくなるのだろうか。逆に交通事故などにあったとして姿形が大きく変えられたとしても、自分自身の行動をとることができて、自分の考えを表現することができればそれは自分と言えるのだろうか? 活きていることを定義することもできず、私が私を定義することもまたできない。それは自分で決めること。それ以上にはなり得ないこと。ただどんなときでもどんな考え方をしていようとも、どんな行動をとろうとも、そのときのベストを尽くしていたいと思う。よりベストな範囲を広げられるような行動を起こしていきたいと思う。自分が今したいことを一番に行っている自信だけはいつも持っているべきだろう。そうしなければその時の生き方にすら申し訳が立たなくなるからね。何が起こるのか、どうなのか、あまりにも外野に置かれることも多いのかもしれないけど、そんなときもやっぱり私なんですよね。