浅暮三文『ダブ(エ)ストン街道』

ダブ(エ)ストン街道 (講談社文庫)

ダブ(エ)ストン街道 (講談社文庫)

今いる所。私がいきたい所。私があいたい人。私の思いがある限り、どこにだっていける、誰にだってあえる。思いがあるから、一番やりたいことをやっているからこそ、進むこともできるし、迷うこともある。でもこの迷っている時間が近道にもなる。何もせずただそこにいることに満足するのではなく、自分の目的を見つけて、その目的に基づいた行動がとられるのならば、迷い道もまた楽しい。毎日目的地に近づいていっているのだから。道すがら奇妙な縁にあうこともあるだろうし、進むことも止めようと思うこともあるだろう、もしかしてこっちの方が近いのかもと自身の本分からかけ離れた道を歩こうとすることもあるかもしれない。でもここにはみんな同じ道しかない、スポーツ選手だろうと、王様だろうと、郵便配達屋さんだろうと、同じ道をあるいてそれぞれの目的地に近づいていくんだろう。