C.S.ルイス『さいごの戦い』

さいごの戦い―ナルニア国ものがたり〈7〉 (岩波少年文庫)

さいごの戦い―ナルニア国ものがたり〈7〉 (岩波少年文庫)

原書での初出は、かなりの昔になります。まだイギリスでは名探偵ホームズが活躍していたころと言いますから、それがどれくらい昔なのかを想像するのはまた楽しいです。本って歴史を超えても、古くならないんですよね。例えば工業製品なんかは時間がたてばより高質なものが次々とでてきます、今こうして文章を書いているパソコンにしてみてもそうです。初めて使ったころを思い出すと、容量や速度は優に10000倍近いのではないでしょうか? それくらいの勢いで進歩しています。一方本はいきなりこの「ナルニアシリーズ」のような地点からスタートするんですよね。今発売されている本も面白いです、だけどこれだけ昔から今読んでも面白い、何度だって読み返したいと思える作品が描かれていたのは素晴らしく感じます。
ルイスは今の時代を想像していたのでしょうか? 逆に今新作を出版している人たちは50年後100年後を想像しているのでしょうか? そんなことはどうでもいいのでしょうけどね。読んで面白い作品って、書いていても面白いんじゃないかなぁって、自分の内側に世界を創りあげてその世界を旅する楽しさは、その世界をこうして形にする楽しさは、幸せに違いありません。