思い出さない

思い出さない様、自分の力で受け止められるようになったつもりでいた。友人に冗談めいて話したりして、何とか自分で昇華しようとつとめてきた。日々のスケジュールに追われてそれについて考えることも少なくなってきていた。知ったのが単に言葉だけだったから、それも全ての所業が済んでから知ったのだから、どうしようもないという万能理由で納得させようとしていた。万能理由が万能じゃないと知る日。別れなかったのは、間違い無く俺のエゴなんだとおもう。素直に伝えられなかったのは、これは俺の甘えだったんだと思う。だけど、今となっては……。言葉の持つ重みももちろん知っているけど、品物が持つ力の大きさに打ち拉がれた日。受け止められていたものが、急に重くなる。状況は変わっていないのだろうけど、自分の中であまりにも大きく動いてしまった。自分の主義を貫き過ぎて、傷つけてしまった。破綻はいったいどこからはじまったのだろうかと考えた時のスタートがここにある。自分の力に余っていたとは思いたく無い、その時の精一杯で接するしか方法なんてないのだから。あの時投げた言葉が、投げられた言葉が、今になって利いてくる。知ったのが、遅かった分、駆け付ける事もできなかった。自分の中でピリオドを打つ事すらできなかった、今居るものの為に行う業、それに遅れてしまった自分、知らずにいた自分。攻めることはできないけど、だけど、今でも感じられて。ひどい言葉も散々吐いてきた。あの年、俺を大きく動かしてくれた二つの出会い。たら、れば、もし、考えても仕方のないことに振り回される、考え過ぎる性質。また一つ附随する思い出ができてしまう。助け助けられた、スタートが余りにも突飛だった、エンディングもまた、スタッフロールが流れていることに気が付かないでもがいている。どうしようもない、ことだと知りつつ。自分で折り合いをつけるしかないことを知りつつ……