北村薫『覆面作家の夢の家』

覆面作家の夢の家 (角川文庫)

覆面作家の夢の家 (角川文庫)

覆面作家と謎の写真」

岡山駅キヨスクの片隅に、一冊だけ残っていた秋に発売された北村薫の短編集を発車間際の列車に連れ込む。寒空のした数ヵ月あそこに並んでいた一冊。右には行きに読んだ本。帰りには今手に入れた本。短編が短編ゆえにもつ味わい。一つの謎が解かれる事がまた一つの大きな謎の伏線となり、まったく関係ない謎が現われたと思ったらラストで綺麗に収束する。シリーズとしての味わいが深くなっていく。血がなくても、ヒトが死ななくてもミステリィミステリィ

覆面作家、目白を呼ぶ」

誰もが好きな事についてならば思いっきり喋る事が出来る。そしてそれを文章にして作品にだってする事が出来るのだろう。作家とはその幅があまりにも広い人を言うのか、どんなものでさえ好きになれる人なのか、それとも好きでない事さえ自分の技で作品にする事が出来る人なのか。人によっても作品によっても違うはず。全てが割り切れたって面白くない。それでさえ謎。

覆面作家の夢の家」

心の置き場所ってどこなんだろうか? 形も無い大きさもない、だけど重さだけはしっかりと感じられる心。どんな所にだって置く事の出来るもの。その場所を身体いっぱいで感じる事の出来る安心感。居場所があるなしよりも、それによって生まれる心の置き場所てずっとずっと大切。キザな科白がはまる瞬間はある、きわどい科白がはまる瞬間だってある。キッカケを求める人、作る人。