外は嵐

外は嵐。全てのものをなぎ倒して行くかのような風。24時間営業ののぼりも、最後まで残っていた黄色や茶色も、この力に奪われて行く。雨は断続的にされど永遠に続くような感慨を与える。時おりあられが混じり、雪へと変わりそうな予感さえ、この12月の空気の中には遊んでいる。雪の予感にわくわくしたのはいつが最後だったろうか? この地に住みはじめて雪がそれほど珍しいものだと思わなくなって、逆に面倒なものに変わって来て。それでも毎年々々はじめてそらから舞って来る雪を見ると、声に出して「あっ雪」とつぶやいてしまう。誰にも届かない言葉。幼き日の記憶。思い出は時間じゃなくて出来事で思い出される。その中を時間って側面で切った一番古いものが雪の日のもの。物心ついた日にはじめてみた雪の事、普段とはまるで違う世界。冷たかった、そして遊んだ楽しさ。帰ってストーヴにかざすとジンジンうずく手の平。こんな頃の自分に伝えたいのだろうか? いや、あの頃の自分が居るからこそ、雪が降る毎に思い出させつぶやかしてくれるのかもしれない。この嵐は雪へと変わるのか? それともこのまま静かに落ち着いてくれるのか? そんな中生活リズムを新しく刻みはじめようと夜中の研究室にやってくる。一日10時間居るだけでは足りなくなる現在。こうして夜も使って時間をいかす。決定的な意志の力とそれを越える程のプライドが俺の糧、眠い面倒だとぼやいて自分の部屋で別の事をやっているのもありだったのだ。けど、来る事によってターミナルが覗ける、そして結果を見られる。それだけでもわずかながら前進する事になる。デバックもトライアンドエラーも結果の表示からスタート。延々と同じ所を回っている気にもなってしまう孤独な作業だけど、この輪は必ず上昇を続けている螺旋になっているはず。抜け出せないものじゃない。あがける範囲のギリギリまではあがき続ける。やるだけやった者のみがつぶやける「なるようになる」って言葉。日で区切ってもそこまではやっている。〆切で区切って結果を出す、考える世界で俺だけが考えている事を考え続ける。時間の流れが驚く程早い。カウントダウンを自然に行なっている自分。