- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/01/10
- メディア: 新書
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どちらも魔女、すべてが魔法。魔法をかける事と、魔法にかかる事、楽しむ所に魔法がある。問題として定義はされない、されど、考えたい謎がある。それがいわゆる現実の世界。答えを出すのではなく、答えを求める。どこから感がたら良いのかを考える。謎そのものを楽しむ。そんな話。とっても大切な話。シリーズでは無い、シリーズ。
「双頭の鷲の旗の下に」"Under dem Doppleladler"
浅いのか深いのか判らなくなりかねない小説。素直にとるのもうがってみるのも面白い。読んだ時の状況で印象が驚く程変わる。小さな専門用語が心に残る。俺も理系。謎の描き方の作者らしさ、ミステリィをミステリィたらしめるボーダ。どこと無くにやり。大きくなってから思い出す事。語る事、語らなくても共有しあえる事。ふと思い出す、美しさ。
「ぶるぶる人形にうってつけの夜」"The Perfect Night for Shaking Doll"
ストーリィ。世界の融合。バラバラに存在している世界という幻想。一つの世界を切り口をかえて視点を変えて一瞬だけの会合。偶然と呼ばれる、世界のあらゆる場所でこんな会合が起こっているのかもしれない。当事者には見えないもの、文章という形を通して完全な第三者にたてる。観察することが対象に影響を与えない希有な例の一つが今ここにある。小説という文字媒体の魅力の一つ。作者のフィルタがそれをよりハッキリさせる。
「ゲームの国」"The Country of Game"
久しぶりに読む小説が、大好きな創作家の短編。これなんだよな、この作家が書く文章の巧妙で軽快な味わい。短編だからより鋭敏に描ける世界、言葉遊びの裏に感じられる切れ味。
「私の崖はこの夏のアウトライン」"ry Cliff is the Outline against this Summer"
人一人分の面積。その程度の差で大きく変わるものがある。生きる、誰がために生きるのか? その生きる目的を失った時の感覚はこんな感じなんだろうか。自分が自分と極限の場所で対話する、自身にさえ触れられなかった魂に触れてくれるような人の存在。目ではないもので世界をみつめはじめる。終わりそしてはじまり。己の還るための場所がここにある。