橋本紡『半分の月がのぼる空』5

日常が始まる。
大切な事は、その日常を自分の両手で掴んで選んだ日常であると自信を持って言える事。
ただ流されているように、過ぎ去って行く時間でも、
その中にはいくつもの選択肢があり、その上で自分の意思を重ねて来た。
想いを伝える。
想いを形にする。
誰に何を言われようと、誰かに似てようと。
僕は僕の精一杯しかできない。
他人の生き方を参考にし、時にうらやましく思う事だってあるかもしれないけど、


僕が君にできることは、そう多くない。
そう多くない1つ1つを積み重ねて深めていきたい。
何でもない事が特別に思える相手、
どこにでもあるけど、ここにしかない話。


いつかは終わりはくる。
それが、いつどんな形で僕達をとらえるのかは、
今の時点では想像するしかできないし、
そんなことを常に想像しながら生きるのはとってもつらい事なんだけど。
いつかをどこか心の片隅に置いておきながら、
両手でもった大切な形を失わないようにしながら、
ただつらいだけの日がくることがあったとしても
この瞬間の気持ちは永遠に忘れない。
僕達だけの宝物。