橋本紡『半分の月がのぼる空』7

短編集は好き。
この『半分の月がのぼる空』と言うタイトルの物語の主人公は僕達だけかもしれないけど、
同じ世界にいきている人たちもそれぞれの物語を持っていることが実感できるから。
行き帰りの電車の中で読書をしながら、
ふと目の前をみると、
本を読んでいる人もいる、
携帯を触っている人もいる、
いつもの私みたいにゲームをしている人もいる。
それぞれの人が、色んなことを考えて、色んな夢をもって色んな時間を過ごしながら
今っていう時間を生きている。
視点を切り替えてみるだけで、1つの世界から多くの物語が生まれる。
このとき、この人は何をやっていたのか?
その一言から想像力が広がって行く。
心の置き場所が少しだけ変わってくれたことを思い出させてくれる。
そんな時間もあったねって思い出す。
読んでいる私。
読んでいる私を見ている私。
物語の世界の中の主人公と同化しているような私。
ほんの少し昔を思い出している私。