姫野カオルコ『ツ、イ、ラ、ク』

ツ、イ、ラ、ク

ツ、イ、ラ、ク

恋と言うもの。
人が人に惹かれる。その人に惹かれる、自身が惹かれている。どうしようもなく墜ちていく感覚。ここにしかない。世界にたった一人しかいない人。同じような人はいるかもしれない、同じ性・同じ名前・同じ格好・同じ趣味……。だけど同じ人ではない、求めている人はその人だけ。この想いもまた1つしかない、自身の想い人でさえ、同じ想いを持ってない。その人はその人の想いで自身に恋してくれている、それだけ。それが愛しあっている。どれだけ時を経たとしても、心をかけて心で触れあったそんな相手の思いは忘れない消えない。真剣であればあるほど、自分の想いで相手の思いを受け止めるほど、一瞬の光が一生を照らすことも多くある。幸せとか不幸とかそんなことは考えない、ただその人が欲しい。一瞬自身を思いっきり不幸にしたくなるような気持ち、だけどそれが自身にとっての最大の幸福。思い出す、小学校時代を、中学校時代を、今の時代もまた数十年後に思い出すことになる。心が震えた瞬間、今想うとなんでもないけど、そのときは何よりも濃い大切なものだった時間。どんな人もそんな時間をもち、どんな人もそんな想いを持っている。心があるから心に惹かれ、心に傷つけられる。心に助けられ、心を導く。
恋というもの。