今野緒雪『マリア様がみてる』涼風さつさつ

このシリーズを読む毎に読む切っ掛けをくれた『活字倶楽部』に大感謝しています。コバルト文庫は高校生になる前辺りから読んではいたのですが、一年前のあの特集記事がなければこのシリーズを手に取ることはなかったのでしょうから。私には好きな本のジャンルはありません。ジャンル分けすること自体が勿体なくて、面白い面白そうな本なら読みます。その面白そうの基準は『活字倶楽部』でありそのお仲間さんたちなんです。
殺人が起こらなくても、異世界へ行かなくても、魔法のような出来事がなくても、日常はとても刺激的で美しく謎に満ちていて何より楽しいんです。人が人に惹かれその気持ちがまた人に世界を広げてくれます。昔の私が高校時代に生徒会活動をやっていたころの思い出をふっと思い出させてもくれます。読者だけではなく、架空の登場人物たちの仲間になりたいなぁと思ったり、作者にファンレタを書いてみようかなぁと思ったり……。他の本を読むときとはまた違った視点で読んでしまいます。
この作品もとても面白かったです。読んだあと何回も何回も好きな場面を読み直してしまいます。自分に当てはめてその先を考えてしまいます。主人公に想いが同調してふっと涙し、笑ってしまいます。ありがとう。