北村薫『リセット』

リセット (新潮文庫)

リセット (新潮文庫)

時と人の三部作はこれで私はすべて読みました。この最後の『リセット』が一番苦手な作品かもしれません。言葉の選び方は綺麗ですし、詩を引用しているところなんかは、私が詩を好きな分、耳に残るのですが。それすらもまた、形になり得なくて、捕らえどころがなくて、何もないことを淡々と書かれているようで、そういう何も無いことがまた面白いものもあるのでしょうが、何かなぁって気分。
物語が動き出すのは後半の後半。それまでは種まきなのでしょうが、単なる種まきだけを読ませるのは技なのでしょうが……。前二作で期待しすぎてしまったのでしょうかね。