井上ひさし『十二人の手紙』

十二人の手紙 (中公文庫)

十二人の手紙 (中公文庫)

私の趣味の1つに手紙を書くことがあります。文章を書くことはずっと好きで続けています。手紙を書くことももちろん小学生の頃から書いています。メールを知る前からずっと手紙を書いてきた私です。だからでしょうか、メールを書くときも手紙と同じ感覚で書いています。幼い頃の手紙を読み返すと何か恥ずかしいようなくすぐったいような気持ちにさせられます。手紙に纏わる思い出は沢山あり、ある瞬間ふっと思い出します。
手紙だけでずっと綴られてきたこの物語。おしゃべりのようだったり、ただ事実だけを連ねた物であったり、文体や描き方は様々ですが、手紙ほど一人の読者を想って書ける文学は少ないのかもしれません。エンターテインメントとはもっとも対極にあるものが手紙なのかもしれませんが、人の面白さと作者の優しさに連れて行かれています。
カヴァの封筒に50円の切手が貼られていることと消印が55年であることに20年の月日は感じますが、携帯電話もなく、e-mailもまだ一部でしか使われてなかった時代を留守番電話すら少なく国際電話もそう簡単にはかけられなかった時代。技術の進歩が今の時代を進めています。