Antoine de Saint-Exupery『人間の土地』

人間の土地 (新潮文庫)

人間の土地 (新潮文庫)

本を読むことが好き。予定が詰まっていても、〆切が近くても、読みたい書きたい気持ちが私にはある。読む速度はかなり遅くなるし、1日に読める時間もかなり短いのだけど、1ヶ月近くかけて1冊の本を味わうように読むのもまた楽しい。

飛行機に乗ったことはある。でも、私が乗った飛行機は、作者の乗った物とはデザインが違うものだし、何より操縦したことがない。世界を自分の目で見ているのだが、その視点が、上空にあるとこの世界はどうみえるのだろうか。今のジェット機の操縦者は、地表よりも計器類を見ている時間の方が長いのかもしれない。だが、作者は、空から世界をみていた。自分がやっていることにどれだけ大きな背景があるのかを感じていた。生と死が自分の内にあることを意識したときの感覚。

私は生きている。それだけがたまらなく幸せに思うことがある。大変なことも多いし、お疲れさまの連続なのかもしれないけど。その奥に自分が扱っている物の背景が見えるときの幸せ。自分の視点をしっかりと意識して、これからも物を見続けたい。