森博嗣『アイソパラメトリック』

アイソパラメトリック (講談社ノベルス)

アイソパラメトリック (講談社ノベルス)

私の好きな世界を搾り取って、美味しい所だけをまとめたような一冊。読んでいて心が震えるくらい感心する作品もある。何が言いたいのかがよく解らない作品もある。でも、何度も何度も同じ文章を声に出すように読み返している。言葉で表現されうるべきもの。ただこれは、それだけでは無い。この本は写真で魅せてくれる。題名を観る、写真をみる、添えられたキャプションをみる、その下にある文章を読む、また写真と題名を見返す。最初にみたよりも、1つ深い世界に入って行けたような感覚。世界へ入っていくための手助けを文章がしてくれている。美術館で絵と向き合ったことはあるけど、こうして心で写真に向き合うのは初めての体験。全てに共通して感じられる物を見つめる力。これが根底に流れているものの全て。その力で作者が観る世界を作者のフィルタを通した作品として私は向き合っている。そこから感じられる力。自分のサイトにも、写真を載せる事を考えはじめる。