Daniel Keyes『アルジャーノンに花束を』

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

読もう読もうと思っていたのだが、ハードカヴァの為に買うのを半分ためらっていた小説。今回の文庫化を機会に買った作品。ものすごい作品だって噂だけは読む前から色々と聞いてはいたけど、これ程の作品だったとは……いかようにもとれる言葉かもしれないけど、ものすごい。古さをまるで感じない。俺がもっと若い時に読んでいたらもっと違った感想を漏ったかも知れないし、もっと年を重ねて読むとまた違うものがあるのかもしれない。自らの置かれている心情や状態をこれほどストレートに跳ね返す文章にはなかなか出会えない。恐い。読んでいて動かされる心がどうしようもなく恐い。通りいっぺんの言葉を綴る事をしたくない小説。全ての要素があるように感じられてしまう小説。遠くない未来に再読する気がする話。