江國香織『落下する夕方』

落下する夕方

落下する夕方

作中で実際に経過した時間は驚くほど長い。なぜ驚くのか? 精神的な時間が殆ど経過していないからかもしれない。気持ちは固まったままで時だけは容赦なく流れつづけるそして気持ちが動き出したと感じた時この物語は終わりを告げる。こういうのも一つの恋の形。何を求める恋じゃない。自分をより素的にするわけでもない。ただあるだけの恋、いやこれは恋とは違うものなのかもしれない。執着とか妄想とか言う方が近いのかも知れない。この作者の魅せてくれる世界も俺は大好き!!