デイヴィット・ハンドラ『女優志願』

女優志願 (講談社文庫)

女優志願 (講談社文庫)

これは私が知っている中では最も科白で痺れさえてくれる物語です。考えさせられたり、気が付かされたりする科白が多い話は他にもいくつか知っていますが、読んでいて科白に痺れさせられたのはこの物語が最初です。ハードボイルドとはこういうことをいうんだなぁと、私のハードボイルドのイメージを決めてくれました。何でもないことをとてもおしゃれに表現してくれます。このお洒落加減がとても今風なのです。同じ言葉を真似するのは癪ですが、それでもその場面がきたら使ってみたいなぁと思う言葉が続いています。数ページ読む毎にメモしたくなるくらいです。詩的とはまた違う、格好よさがあります。
しばらく読んでいない間に未読のこのシリーズが増えていました。東京に住み始めたからこの未読の存在に気づけたんです。鳥取に住んでいたころは講談社の青い文庫ってほとんどおいていませんでしたから。既読の作品も読み返そうかと考えています。もちろん読んだことの無い新作も読みます。時々読み返したくなるシリーズがあります。私にとっては心の刃を研いでくれるような言葉たちなんです。