Daivid Handler『フィッツジェラルドをめざした男』

フィッツジェラルドをめざした男 (講談社文庫)

フィッツジェラルドをめざした男 (講談社文庫)

今年2作目。色々なことを思い返す作品になりそうな予感。一ヶ月以上かけて一つの作品を読むなんて初めての体験かもしれない。一ヶ月以上に渡る自らの心の動きと作品が描こうとする世界が奇妙な同調をみせてくれる。単なる本が本じゃなくなる瞬間がここにはある。己の力をみせることができない生き方。どこまでが自分の力なのかが不安定になる時。世間という目に見えないものと評論家という自称も通じる世界で動かされる危険性を常に孕みつつ、ここまで成長し影響を与えるまでになってしまった。あこがれる気持ちは大きい。その裏にある影を洒落た会話で描き出す。言葉がより好きになる。