- 作者: 佐々木丸美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1988/01
- メディア: 文庫
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出世欲、名誉欲、誰かから認められたいと願うこころは性なのだろうか。誰かと争い優位に立ちたいと思うのもまた性なのだろうか。世界から隔離された、雪の山荘でその中でだけ通用する価値観が産まれてくる。羨ましさや妬ましさは誰にもある感情、それらを表現する人、自分の中に留め置く人。良い悪いとか決めることが間違っている。違うことは美しいのだろうけど、その違いに引きずられると、一瞬の魔に連れて行かれてしまう。
命を奪うことほど大きな事件はない。その命には貴賎はないはずだ。自分の命のために、他の命を奪わなければいけない事実。自分の命はそれらの命のおかげで成り立っている感謝。世界に表れる心に形を与える芸術。芸術から心を受け取るための力。
一冊の本で連れて行かれる世界がここには確かにある。