夢野久作『ドグラ・マグラ』(下)

ドグラ・マグラ(下) (角川文庫)

ドグラ・マグラ(下) (角川文庫)

いったいこれは何なんだ?? 事件が起きてそれを解決するってのがミステリィのよくあるストーリィなんだろうけど。この作品ではいったいどんな事件が起きているというのだろうか? 全てが書いてあること全てが衝撃。どんどんと解らなくなる。読み進めると作品を通して自分自身を見つめさせられているような感覚に襲われる、それも自分の最も闇の部分を。本当に確実なものってあるのだろうか、俺が俺であることの確信や証明って。今の俺が立っているこの場所すら揺らすことなんて簡単なことなのだろう。これだけ解らなくなる小説ははじめて。今まで体験したことない感覚、これも面白さ。