森博嗣『有限と微小のパン』

有限と微小のパン (講談社ノベルス)

有限と微小のパン (講談社ノベルス)

何か事件は起きたのか? いや何も起きていないのだろう……天才とそれを取り巻く環境の内に自分の思考を泳がせるとても心地良い感覚現状の認識や存在意義その他もろもろの事はこの際深い意味はない、どうして死んだのか?  綿密に張られたプロット、ラスト一文のカタストロフィこちらにも大きな意味は無いその無意味でわからないことだからこそ、考え続け思考を展開し続ける、それこそが森博嗣ミステリィを読む至福なのだろうただただ俺はこのストーリィにだけから与えてもらえる、この綺麗な想いを味わいたいが為にこうしてこの人の文章を読んで行くのだから……そう、謎はどこにでもある。