西澤保彦『七回死んだ男』

七回死んだ男 (講談社ノベルス)

七回死んだ男 (講談社ノベルス)

叙述トリックだとか、一人称小説の妙だとか、そんな言葉でくくってしまうのが持ったいないくらい面白い小説。だまされる心地よさをこれ程mでに感じる作品も少ないだろうな。一つのミステリィを書くために世界に新しい法則を作り上げてしまう作家、動機だとか方法だとか言う以前にただ単純におかしい面白い。時の流れを意識させられ、時間の流れって言うのも主観に頼られてしまうものでしかない。一定の時が早くも遅くも感じられるのだろうから……その流れから抜け出せてしまう人。超能力ではなくて、体質。始めて知る魅惑的な設定。この設定で俺も一つのストーリィを書いてみたくなる。