- 作者: 菊地秀行
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1991/11
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
短くて、あったかくて、シンプルで、パンチが効いて、どこか惹かれる作者を疑いたくなるストーリィこういうのを自分でも書いてみたくなる舞台は桜散る川土手、高校を卒業し新しい街を目指す女性とその彼そして彼の友達時の流れの儚さと美しさ先を想わせるラストシーン短くても気持ちが伝わってくる……
「コンビ結成」
100回以上もピアニストとヴォーカリストとしてコンビを組んできた男と女、東欧から来る世界でも名高い転載ピアニストその人と女の過去を想わせる一連の描写結局、結ばれなかった様に想う、そんな描写はどこにも無いのだがそんな風に感じてしまう。書き出しも好き
「香水」
やられた。ありきたりのロジックとプロットとストーリィで組み立てられてはいるんだけど、小物の生かし方とラストシーンへの持っていき方が秀逸。想像させる遊びを残しているのだが、その想像が絶対にこうとしかいかないような描写を端々にまぜる人によってこの受け取り方は違うのだろうが、色んな視点でそれを考えるのもまた面白いこういうショートショートなラヴストーリィは大好きだ
「保証」
ちょっとパンチが弱いかなぁ……知り合ったキッカケは意外性があって好きだが、ラストシーンがあまりにもシンプルに終わらせすぎ静かに終わるのも時には良いが、この話では返ってマイナスだろう短編集にはこんな一編が必要なのだろうか?
「寄り道」
前の話より面白い少しずつ助走が早くなっている感じ最初の三作がガツンとやられたので着陸が自然でアクロバットを求めてしまう短編には、書かない良さがある、だからこそ書いてあるところは光って欲しいのだ!
「恋人の時間」
これはかなりの異色作あまりにもありきたりの話なのだが、それを読ませる雰囲気が漂う自然に流れて行く良さがある静かにはじまり静かに終わって行く……心に何かを残しながら旅は何も変えたりはしない与えてもくれない、だから俺は旅が好き
「予期せぬ乗客」
こういうのはかなり好き気の利いた文章が散りばめられている。ラストの一文が全体を上手にまとめている同じ事を書くのにこの言葉を、二人称で語る美しさ
「メイクアップ」
こういうストーリィもあるんだねぇ……ラヴストーリィもラストが大切短編に最も大切なものなのかも知れないなラストシーンって……場面は殆ど変化無しで、脚本で楽しませてもらった
「夢通り」
読み終わった後、さぁぁぁっと背筋が気分良くなる一編出会い方も素的で終わり方もどこか物悲しさをかんじさせる色彩が異なるラヴストーリィで終わらずファンタジック味わいを感じたはじまりのシーンを踏襲するようなリフレインが効いたラストシーンこの本の短編の中では今の所ピカイチの作このアイディアはいつか自分も使ってみたい。
「リサイタルの客」
小説を読み終えた後のあの、ゾクッっていう感じそして俺が前から大好きなシチュエーション思わずニヤリとさせられるラストシーン多くを語りたくない、短さの良さは……
「零時の革命家」
う〜ん、解り難い少し長い気がしたのも気のせいでは無い筈一度そう思って読んでしまうと、話としてとても弱い凡てが自分好みの短編集ってのは贅沢なのかなぁ…最初の方はいい感じだったんだけどな。
「無言劇」
こういうのは好き長さ以上の奥深さを感じさせてくれるからねぇキャラクタに名前が無い良さとその場の雰囲気を感じさせる……。一気に読む楽しさがあったな。
「暦のない家」
何か俺にとっては、弱いよ。この短編集の最後がこれってのはなぁ……