郵便局

朝、郵便局へ行きました。郵便局が開いてすぐくらいの時間です。研究室への出動時間を考えると、郵便局へ行くときは大体これくらいの時間に行っています。銀行で最後の家賃を振込、入金されていた奨学金を郵便局で貯金するために、郵便局へ行きました。郵便局のATMの前では、普段とは違うところが1つありました。足元に1万円札が落ちていたのです。

迷いました。最初は自分がお金を落としたのかと思い、自分が持っている枚数を確認したのですが、自分が覚えている数通りでした。この1万円札は誰かが落としたお金なんです。迷いました、届けるべきか? 盗むべきか? 財布に入ってない裸銭だったので、落とし主は解らないのかもしれません。自分にとっても大きな金額です。一瞬本気でそのまま貯金しようかとも考えました。でも、盗むことはできませんでした。その場はお金が増えたってことで嬉しくなるかもしれませんが、自分の中にその事実があるってだけで厭なんですよね。郵便局に行く毎に盗んだことをしたって思いを思い出したくはありません。結局郵便局に届けました。警察へ届けて貰うように頼んでおきました。半年落とし主が見つからない場合は私のものになるみたいですが、半年先にはこの町にいない予定ですからね。書類は書きましたが、自分のものにする気持ちはありません。

落とし主がみつかれば良いと思います。自分の身近に財布を失って困った人を知っている分、より見つかればいいなって気持ちは強いです。本人は忘れているかもしれませんが、もし覚えていればそして郵便局に問い合わせてくれれば。それだけを祈ってます。

私の中には、私の法律があります。裁判官と検察官と弁護士がいつも法廷を開いています。常識とかいう不文律よりも、自分の中のきまりの方が重いんです。これからもここにだけは背かない私でありたいです。