携帯電話をみつめる

気がついたら携帯電話を握りしめている俺がいる。何でもない情報伝達手段の一つに過ぎないポケットに入る精密機械。機械なのにね、温もりを感じてしまう。ここに込められた言葉が、自分の中に届いた時温度をもつ。どんな方法でもない、携帯の電子メールって方法を選んで伝え伝えられる言葉達。電話では伝えられない、ことなのかもしれない。今この瞬間を短い言葉に託して送られてくる、言葉。朝起きて「おはよう」って言いたくなる、夜眠る時に「おやすみ」って伝えて欲しく思う。何でもないことだよ、改めて言葉にしてしまうとね、でもねでもね言葉にして伝えてくれることが嬉しい。ここにある心を込められたそれを感じる、幸せです。嬉しい時は嬉しいって伝えたい、ありがとうの言葉を惜しむことはしたくない。何度言っても言い足りない、言葉は心を超えない。だからこそ表したい、一歩でもそこにね。曖昧に言葉を濁したくはないから。今のこの瞬間がね、メール着信音を聴くとドキドキする。差出人の名前をみて、舞い上がる。ささやかな言葉がとても素的な相手、小さな言葉で俺を感動させることが出来る存在。メールをもらう毎に益々惹かれている。夜電気を消して布団に入って暗闇で見えてくる、昨日よりも大きくなっている自分の気持ち。切なさは募る。逢えない時間が逢いたさを募らせる。裏切りだと思われてしまったことが、俺の中での裏切り。あぁいう風に思われたことが俺の心外。傷つけられた。裏切りとは当事者間の尺度で成立してしまう怖さがここにある。三者に伝えれば伝えるほど俺の存在が消されてしまう。