何?

あまりにもだだっぴろくアスファルトを敷き詰められた道。学内の各建物間と正門を結んでいる道。雨が降ったときに泥が跳ねなくて良いように、なるべく平にして四輪が走りやすくなるように、それらの道には全てアスファルトが敷き詰められている。所々高さが違う所や噴水の辺りなどは、申し訳程度に土が顔を覗かせているのだが、他は全て覆われている。雨の日の為を思って作られたこれも、それほど役には立っていない。少々の雨だったらば自然についている傾斜で一所に水を集めてくれるのだろうけど、今日の様な度を越えた雨はただとりあえず作ったアスファルトの道には意味が無い。スニーカからジーンズ、コートにまで水がかかってしまう。水溜りがあちらこちらに出来る、高さが同じ所が集まっているので、この水溜りの面積もあまりにも広い。風がふくと波が立つ位の大きな大きな水溜り。避けて歩こうとする俺。選んでその道を行く俺。一面の水溜りに立つ波紋なんてなかなか見られるものではない。海の様な深い水だと、見ることが出来ない光景。思わず言葉が湧き上がってくるような世界がそこにはある。今夜はその言葉を逃してしまった、消えてしまった言葉、書き留める事が出来なかったそれ、言葉にまで昇華できずに、一瞬何かをよぎらせ消えて行くもの。こういう時の方が後に残るものは心地よい。限りなく詩の世界に近付き始める日常の光景。全身黒服に真っ赤な傘。別に今しなくても良い事なのだろう、明日出来る事を明日する、今したい事を今する。したい事が先に来る。こうやってどれだけハードな日常でもバランスをとり続ける、ハードスケジュールの中で自分の時間を作る訓練は散々して来た。うまく行ったことあり、失敗して影響がでた事もある。一度壊れる事は理想的な自分を組み直す手助けだってしてくれる。それを恐れてはいけない。月も見えないどしゃぶりのよるに外灯を頼りに歩きなれた道を歩いて行く。なれていても、こうして新しい顔を見せてくれる事がある。写真で切り取る、音楽で切り取る、言葉で切り取る、心に留め置く。何を書いた分けでもない日。