日に3度

日に三度研究室に出向く。その都度計算機の吐き出す出力をメモして、更に次のプログラムを実行する、計算機による実験の繰り返し。出力的には信じたくない値を吐き出す事も多いけれども、とりあえず、回数こなして最初に決めた所までは持って行くつもり。プログラムレヴェルでの修正は一周してから。土曜日も日曜日もなく研究室にこうして通い詰める。どうしても生じる実行待ち時間に、時間を上手に使っていく。バックアップを取る。考える。形にする。まとめる。こういう夜中に研究室に来ると、怪しい気配を感じる事がある。日中でもあるのかもしれないけど、人の気配が少ない分夜の方がその色が濃い。今日はそれがいつもよりも濃かった。廊下を歩いていると計算機室の灯がついていた。そして携帯の画面に一度目をやりまた前を向くと計算機室の灯は消えていた。誰かがいたんだろうと扉をあけても鍵はかかっていず。怪しく思い鍵を明けて部屋にはいっても、そこには静かに動く計算機達がいるだけ。いったいあの灯はなんだったんだろうか? 単なる見間違いで安心するのが一番楽なんだろうけど、絶対それだけじゃない。確かに俺は見たのだから。何かが居たのかも知れない。普段は気配しか感じられない何かが。普通に電器レヴェルでの誤動作って考えもあるけど、それよりも背中の方から襲って来るような静かなでもしっかりとした感覚の方を信じていたい。恐ろしいからといって止める気もないし、それだけの理由で止めている自由もないけどね。ただこういう事が起こるのかもしれないって考えた方が面白かったりする。信じているから俺はこういう事を。これからどんどんと〆切が迫れば迫る程こういう時に研究室にやってくる機会が増えて来るだろう。また何かに出会えるのだろうか? 不思議な事などなにもない。だから不思議な事ばかり。論理的な解決。色々なルートで近付く事が出来る部屋。噂だけは広げればどんどんと伝え聞く。縁がなさそうな世界が一番近所。