マンション

壁一枚向こうには、知らない人が住む。マンション暮しならば当たり前の事なのだろうけど、ふと考えると恐ろしい話なのかもしれないと思ってしまった。今朝、うちの扉の前に古新聞の束が袋詰されて捨てられていた、いかにもうち の扉を塞ぐ様に扉にそれをピッタリとつけて。いったい誰が、俺に嫌がらせを?相手は俺?それともこの部屋の住人?それとも両方?技術的手段や科学的手段や肉体的手段、犯人を特定する方法は沢山あるのだけど、そこまでするような事でもないと思うので、黙って捨てに行く事にした。丁度通り道だし、俺も古新聞捨て様と思ったから。まぁこういう風に思わないとやっていられないのも事実。明確な悪意は在るのに、その所在も対象も目的もクリアに見えてこない、それを見てしまうのが怖い。署名の無い悪の恐怖。こんな日は、壁がいつもよりも薄い。