眉村卓『ねらわれた学園』

ねらわれた学園 (講談社青い鳥文庫)

ねらわれた学園 (講談社青い鳥文庫)

この本を買ったときでした、隣の棚では小学生ぐらいの女性と、父親が本を買いに来ていました。「この本ずっとまってたんだ」って明るい声で父親を見上げた声に、私の幼い頃を思い出しました。私も丁度そんな子供時代でしたから、ほしい本が買えなくて涙した記憶や、本を読んだあとの興奮が、今の私の根本にあるんんです。そんな読書体験や一冊の本を色んな視点で読み返したり、一度読んだ本の別な話を頭の中で回してみたり、人にお話を提供したり、情景をスケッチしたり、そんなこをは良くやっていました。
この作品は大ヒットしたらしいのですが、今までタイトルすら知りませんでした。今回はイラストレータに惹かれて買い。前書きを読めただけでも価値があると思えた作品です。もちろん本編も面白かったのですが、それを読んでもう一度前書きを読み返すと頭の中でのストーリィが静かに深みを増していきました。あとがきではない、解説でもない、前書きって形を作者がとった力を感じています。
自分の立場で物を考えるのは楽ではあります、でも同じ問題にぶつかったとき、別な人ならどう考えるか、同じ問題ではない別な問題を見つけるのかもしれません。自分の考えから遠い近いはあるのでしょうが、正解不正解で境界条件をつけられない問題ばかりです。だからこそ、自分で決めることがとても大切になるんです。