森博嗣『まどろみ消去』

まどろみ消去 (講談社文庫)

まどろみ消去 (講談社文庫)

今回はどこか一文抜き出してみようって気持ちで読んでみました。世界観と同時に言葉に注目して読んでみたんです。視点を変えるとまた新しい面が見えてくることを実感しています。一文なんて難しいです。とくにこんな珠玉の短編集は。今回のフレーズは最初の一編から抜き出しました。短編集の幕開けです。
短編集には方向性の異なる多くの印象的な言葉が散りばめられています。長編では言葉の持つベクトルの方向性が似ていることが多く感じますが、短編はその色合い毎に様々な面を見せてくれる気がします。可能性、風味、広がり、様々な表現方法があるのでしょうが、これが懐の深さ切れ味なのかもしれません。主題としては長編にまで拡張されても不思議が無いものが沢山あります。ですが、その中でギリギリまで削るとこういう作品が生まれてくるのでしょうか。