乙一『天帝妖狐』

天帝妖狐 (集英社文庫)

天帝妖狐 (集英社文庫)

私のした行動は相手にとって本当によかった行動なのでしょうか? 解りません。ですが、やりたい、やってあげたい、そんなことすら考えずに自然に行動を起こしていることもまたあります。これの良し悪しもまたわからないのです。どこかでそれを評価する人がいるのかもしれませんが、心は測るものではありませんから。
ですが、そんな何でもない行動が相手の一生を照らし出すこともまたあるのです。前にいくのもいかないのも闇しかないような選択肢しか自分には残されていなくとも、当たり前の幸せを、心地よさを知っていることは、何事にも変えられない幸せがあると私は思います。そんなときは感謝の言葉が感謝だけでは足りないのです。感動の形はここにあります。