宮部みゆき『蒲生邸事件』

蒲生邸事件 (文春文庫)

蒲生邸事件 (文春文庫)

過去を過去という理由で差別しない。そう、今を精一杯生きるっってこと、誰もが自分の大切な時間の中を生きている。己の選択の積み重ねとその繰り返しによって存在する今この時間。例え時間移動の能力があったとしても、その人が生きているって言う自らの内に積み重ねている時間は変わらない。どこまでどれだけ、自分と自分が進んでいく時間に責任を負うことができるか。別な時間に生きる人をそのままの姿で見ることは難しい、でも同じ時間を重ねていきたいと想ったり、その時間を心から感じたいと想ったり。人が自分の時間をどういう風に生きたか、どれだけその歩んでいる時間に誠実であれるか。時間の違いだけでは差別できない、大切なこと。