山本文緒『ブルーもしくはブルー』

ブルーもしくはブルー (角川文庫)

ブルーもしくはブルー (角川文庫)

自分以外の人生を歩んでみたい。多くの人は「今」っていう時間にどこかしらの不満をもっているのかもしれない。完璧ってことは無いんじゃないかな、欲望には限りがないのだろうから。今に不満がない人でも、あの時別な選択をしていたら今の自分はどうなっていたんだろうかって考えたことが何度かあるんじゃないかな。でも、どんな中にもそれだけ何もかも絶望的に思える時だって、輝くものは必ずある。それが見えなくなっている時が視野が狭くなってしまうときがそれなんだろう。何に耐え、何をみつめるのだろうか。そしてもしも本当に別な人と入れ替わったとしたら……何を感じるのだろうか。その先でも不満をみつけるのか、満足するのか。何を考え何を感じるのかな。作中の1つ1つのフレーズが痛い。自分の事ではない作品だからより容易に客観視ができるから、それを昇華させた時の静かな静かな痛み。文章で感じ入るものを知る。日常と非日常のメビウス