加納朋子『ガラスの麒麟』

ガラスの麒麟 (講談社文庫)

ガラスの麒麟 (講談社文庫)

一人の人間を核として物語は展開していく。生きていくことは何と辛いのだろうか、幸せなわけでも不幸なわけでもない、ただただ空虚でそこにあるだけ。この年頃に考えたこと感じたことは一生自分の中で生き続ける。不意に思い出して自分を締め付ける。壊れやすい綺麗な物を抱えつつ。それをこわしては生きられないことを知り、奥の方へしまいこみ、小利口に生きる方法を知ってしまう。一瞬の幸せを信じる時間を夢見てる。