宮部みゆき『鳩笛草』

鳩笛草 (カッパ・ノベルス)

鳩笛草 (カッパ・ノベルス)

「朽ちゆくまで」

先を知ってしまう力。知らないから生きていける、知らないから知りたいと願う。知ることは怖い。それに耐えられるのか? 耐えられる時がくるのか? 運命と宿命の間を泳ぎ切るための己の能力一般には持っていない少数派の力で歩む勇気それに笑顔をくれるもの

「燔祭」

人の力を越えた所にある能力。例えそえがどれだけ傑出した能力であろうとも、人の権利を越えた所にあるとみてもいいのだろうか? 激鉄をあげ、引き金を引く。照準を合わせる。身を守る武器。何かを諫める武器。ただ振りかざす武器。技術の持つ力。技術を用いる力。先がある、先を思わせるストーリィ。交錯する炎。

「鳩笛草」

自分が自分であると認識する自己同一性何に根ざしているのか、その力はいったい……一つの能力が突出していてそれを失ったら何も無いのかもしれないとまで思ってしまうこと。その思いだけ失って、新しいものを探す。探す自分は、見つけた自分は、今までのそれとは違うのか? そもそも違うとはいったい……泣こう、泣きわめこう自らの能力を認めてもらえ、受け止めてもらえる感動