加納朋子『魔法飛行』

魔法飛行 (創元推理文庫)

魔法飛行 (創元推理文庫)

前作をよんではまった作家。一つ一つが独立した短編のようでいてされど一作の本として読み終わった時にストーリィが貫いている。何の関連があるのかが解らなかった出来事たちがおさまるべきところに納まり、一枚の絵を描き上げる。出来あがるまでの不安と、目の前で変化しつづける情景。刺激される、自分の創作意欲が、現実と空想の同期が、心の奥深いところが。空を見上げる。昼に夜に。その向こうにその下にいる人に想いを馳せる。魔法がかかったような大切な時間。留まらない今をとどめておきたくなる瞬間。