上遠野浩平『夜明けのブギーポップ』

夜明けのブギーポップ (電撃文庫)

夜明けのブギーポップ (電撃文庫)

既に起きた事はとり返しがつかないのだろうか。とり返す為に生きると言うのはどこと無くわびしい選択の様な気もする。ただ「選ぶ」と言う行動には得るものが大きければ大きいだけ何かを失う。いや、本当に得る事なんて出来るのだろうか? 本当に自分に失う事すら無いのかもしれない。錯覚のような物。ふと思い返して胸を切り刻まれるような過去、乗り越えた問題だろうと、現在進行形だろうと、どこまでついてくる。それらをすべてひっくるめたものが自分。ふらっと自らを語る瞬間。語りようによっては全てが物語だろうし全てが現実にもなり得る。響く物がある、何かを描いた物語ではない。ただ漂っていてそこにあるもの。当り前を当り前に書ける勇気。朝はまた来る、夜は明ける。