桐野夏生『柔らかな頬』

柔らかな頬

柔らかな頬

本当の事なんて確認するまでは誰にも判らない、確認した事を本当の事なんだと確かめる術も無い。人は見たいものを見て、信じたいものを信じる。信じていたそれと、見せつけられる結果の間にどれだけのギャップがあるのか? そこが安定感と深い関わりがある。でも、安定する事が何に繋がるというのか? 安定していても、淋しい時は淋しいし、辛い事は限りなく辛い。自分は一人では無いって思える、一瞬のその心満ち足りた幸せ。それを求めて行動する。罪とか罰とかは結果論。誰にも言うことは出来ない。様々な葛藤の中、皆生きて行かなければ行けない。これには理由なんて無いのかもしれない。