北村薫『覆面作家は二人いる』

覆面作家は二人いる (角川文庫)

覆面作家は二人いる (角川文庫)

覆面作家のクリスマス」

なんかとっても可愛い。読んだ後そんな言葉が俺の口から飛び出してきた。雑誌で面白いという話を聴いて興味を持って読んだ本。そして期待以上に面白かった本。あらすじを掻い摘んで話せば、な〜んだって話でしかないのかもしれないけど、この人の世界に収まるととっても気持ちが良い物のように感じられてしまう。ゆっくりと楽しみたい。

「眠る覆面作家

優しく可愛らしい雰囲気。謎そのものに対するウェイトよりもそのものに内在する優しさが読んでいてとっても暖かい。短編だから描ける世界がある。一つ一つの心に残る言葉たち、切られるよりも切れる言葉。好きだなって思える作家が増えた。

覆面作家は二人いる」

もしも、自分が二人いたら……考えるのはとてつもなく楽しくそしてちょっとだけ怖い。自分が今いったいどこまで存在しているのか、どこまで存在する事が出来るのか。どこに自分のアイディンティティと呼ばれるものがあるのか、とってもミステリィ。こう言うところもミステリィ