恩田陸『球形の季節』

球形の季節 (新潮文庫)

球形の季節 (新潮文庫)

この小説に潜む恐怖と言うのは、いったいどういう風に表現すればよいのだろうか……現実感って言うやつは、こんな所からも意外と見え隠れする。どこかしら自分の境遇みたいなものと照らし合わせて舞台を読み取り世界を感じていく。どこにでもある恐ろしさ。ひょっとしたらあるのかも、起こるかもって思わされてしまう怖さ。ファンタジィで言えばハイではなくローに属するんだろうけど、これをファンタジィって言ってもよいのだろうか? それよりもこの世界に漂う雰囲気が堪らなく俺の心に呼びかける。この作者の作品も好きだな。