村上春樹『アンダーグラウンド』

アンダーグラウンド (講談社文庫)

アンダーグラウンド (講談社文庫)

地下鉄サリン事件」から4年と1日後の今日この小説を読む。時の流れの速さに改めて驚かされる。どれだけ生残な過去を体験しようとも、どれだけ忘れたくない出来事を経験しようとも、時の流れはそれらを全て優しくも無常に包み込んでいく。こうして、記録し形作る事によって、それらは思い出の箱を開ける為の鍵になっていく。忘れずに考え続ける。問題点を指摘する。それらがどれだけ力になるのか、言葉にどれほどの力があるのか……だからこそ信じたいのだ。