島田荘司『御手洗潔のダンス』

御手洗潔のダンス (講談社文庫)

御手洗潔のダンス (講談社文庫)

「山高帽のイカロス」

久しぶりに御手洗のストーリィを読んだ気がする。この前読んだのは、下を見れば分ることだが「メフィスト」の作品にまで遡る。このシリーズの短編はとてもスタンダードなストーリィで、そしてそれがとても面白い。映像が浮かんできて、それがとっても迫力があって、やっぱり御手洗シリーズは面白いなって思う。王道なんだろうなぁ〜これは、多分。

「ある騎士の物語」

目の前の光景が、過去読んだ事がある小説や観た事がある映画とフラッシュバックし、あたかも同じ場面の様に思えてしまう事は多々ある。その際「あっ、同じだ」って思うか思うだけに留まらず、キャラクタと同じ行動をとろうとするか、それはその時々の思いの重さによるのかもしれない。想いは見えない計れない。だからこそ表に現れる行動はその人となりをありありと見せてくれる。それにはまた色々なものが絡んでくる。性格、タイミング……etc。一つ一つが大切な思い出。

「舞踏病」

このストーリィは最後の数ページを作者は一番言いたかったのではないだろうか……本編であるはずの殺人事件も最後の数ページの印象があまりにも強すぎるので、こちらが本編の様に感じられてしまう。全ての物事を善悪のバスケットに振り分ける事は出来ない。全ての物事には表があり、裏もある。あるものには向いていて、あるものには全く向いていない。良いものを最大限に生かす工夫。それが大切。