そんな日

何か嫌な事や辛い事があったわけではない。しかし、何故か鬱になる。そんな日が時々ある、周期的にやってくる波の様なものなのかもしれないし、突発的にやってくる事故みたいなものなのかもしれない。朝ある程度元気だった俺が、十数時間でふと侘しい気分に襲われる。これはいったいどう言う事なんだろうか……理由は多分ある、けど言葉にならない事。どうしようもない不安と戸惑い、精神的な閉塞感が肉体にも影響を及ぼす。突発的に最悪の選択を選ぼうとする自分とそれがバカバカしい事だとあきれているいつもの自分が居る。永遠に続く自己内対話、結論を求めてするのでは無い。結論が無い事なんか判り切っているのだから。頭の中は短調のメロウな音楽が流れつづける。腹は減るけど、食べたいとは思わない。でも食べないと本気で弱るので刺激の強い味付けにして食べる。案の定、味がハッキリと判らない、でも何かしていたい。鬱な時も何か食べられれば大丈夫なのだろうから、まぁ大丈夫なのだろうけど。これって何の根拠も無い事なのかもしれない。普段は奥に眠るダークな自分。大勢の個性によって構成される自分。僅かなる時の違いでそれらが時々表に顔を出す。今までにももちろんこういう事はあった、その都度巧く付き合ってきた、今回もそうなるんだと思うし、そういう風にしたいとも思っている。過去を思い出す、遠き過去、近き昨日。未来を思い描く、遠き未来、近き明日。空元気を出して自分を奮い立たせるよりも、とりあえずこんな夜はとことん落ち込む所まで落ち込みたいなって思う。こいつ等と巧く付き合って行きたいなって思う。薄暗くした部屋でクラシックを流しながらとアルコール度の強いウイスキィを、様々な自分と一緒に形の無い肴で飲む。琥珀色の液体の中に、疲れきった男の瞳を見つめる。ここにこれ程の暗い文章を記す、異常なまでの自己陶酔感覚、己の思いを形にする自分の為だけの文章。人に読まれたくない、でも上げてしまう、矛盾した感覚。逃げるよりも、向かい合う。一眠りして目が覚めたら、朝の光と共に元気になっているでしょう。