支倉凍砂『狼と香辛料』II

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

神として崇め奉られるのってどんな気持ちなんだろう?
自分の力で及ばないことに出会うと、
神の仕業だとすることで、落ち着かせてきた。
神自身にはそんな気持ちもなければそんなことをする力も無いのに、並ぶものも自然となくなり、友と呼べるものもいなくなり、一人だけ全く別の視点から物事をとらえるようになってしまった。手に余る力を持たされることによって、孤独に襲われる。孤独自体は悪いことではないけど、人の一生を越える長い時間独りでいるとしたらどうなのだろうか・・・。笑うことも泣くこともしばらく忘れて、尻尾の毛の本数よりも多い時間独りで過ごす。
 そんな時間を変えてくれた存在。話すことを思い出させてくれて、そこで泣かせてくれる人。他愛も無いやり取りにほっとさせてくれる人。
 昔の時間に戻されるくらいならば、誰かによって決められたきまりをやぶってでも今の時間を少しでも長引かせたいと思う。いつかは終わる時間だと知っていても、その瞬間までは精一杯でありたい。