角川スニーカ文庫と角川文庫の一番大きな違いは、イラストページの有無だと思います。挿絵が入った角川文庫もありますが、表紙をめくって、作中のいくつかの場面の挿絵をカラーで載せてくれるのか、角川文庫にはありませんからね。挿絵は想像力をかき立てる手助けをしてくれます。言葉だけでも十分面白いのですが、イラストをつけることで、読者の想像力の方向が似通って、でもそれだけの想像力を入り込ませる余地を残してくれるところがこういう文庫の危ういバランス感覚な気がします。すべてイラストをいれてマンガにするって手法ではなくて、すべてイラストをなくして、ホワイトハートから講談社文庫にも拡大した十二国記のような手法でもない、角川スニーカという選択肢。この版型を読み始めて１２年を越えるのかな。
自分の面白さを狭めるような卒業を、私はしません。面白いものは面白いと、貪欲に楽しんでいきます。
