谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

地球だって宇宙の一部ですから、私自身宇宙人です。こうして書いている文章を読むのは必ず未来の自分ですから、記録したものから想像すると今の私は未来人です。何よりどの能力を超越したら超能力となるのかを自分で決めるならば、すべての能力は超能力なのでしょう。裏表紙に書いてあった科白だけだと絶対に買わなかった本です。ただ、第八回角川スニーカ大賞と言う冠に惹かれました。大賞を取るくらいなら面白い作品なはずだって気持ち。八回やって大賞が三人ってのは、まぁ割合としては高い方なのでしょうか? 何と比較するのかって問題はいつまでもついてくるのですし、審査員が誰なのかってこともあるのでしょうけどね。でも賞をとるのって第一歩にはもってこいなんです。読んだこと無い作家を読む切っ掛けって、口コミの次はこういう賞ですから。読んでみて、賞らしい作品です。軽快で読みやすくて面白い。ありきたりの設定ですし、ありがちな物語で、ありがちな解釈なんですが、心地よくずれているんですよね。ほっとするのだけど、何か変な点を力で見せつけられるようで、誰もが書けそうだけど、何か独特な言語感があって、読みやすいです。物珍しさ目新しさというよりも、目の付け所の新しさかな。