北方謙三『黙約』

黙約 (角川文庫―ブラディ・ドール)

黙約 (角川文庫―ブラディ・ドール)

キャラクタの存在感、そしてその喪失感。言葉にはならない奥の深い所に潜む言葉。それを命を失う事によって描ききる。死んではいけないはずのキャラクタが死ぬからこそ、読んでいる俺の中にも生きているキャラクタの中にも様々なものが生まれる。それ程の男が亡くなる。友情とも愛情とも言いきれない関係、一言で表現する事は出来ないが、これまでのシリーズを読んで、ただ感じていたことが最も大切なことの様に思う。生きるって黙約の連続なのかもしれない。